日本地理学会2011年秋季大会における研究例会の報告
2011年9月23日(金)~26日(月)に大分大学で開催されました日本地理学会秋季大会中の24日(土),本研究グループの例会にて以下の研究発表がありました。(参加者8名) 関村オリエ氏:2010年IGUイスラエル地域大会報告 2010年7月12日~16日にテルアビブ(イスラエル)で開催されたIGU(国際地理学会)地域大会,および,大会前の7月7日~16日にアインカレム(イスラエル)で行われたIGU「ジェンダーと地理学」の分科会に参加した関村氏から,両会の様子を報告していただきました。 とくに「ジェンダーと地理学」分科会について,詳しい紹介がありました。分科会での発表題目は大まかに,1)ジェンダー化された身体と空間を扱った議論,2)ジェンダーと公共空間を扱った議論,3)女性の経験と実践を扱った議論に整理されます。私的でミクロな空間の問題に,地理学者の関心が集まっていることがわかります。 報告者の関村氏からは,地域大会や分科会で活躍している(女性)地理学者たちに潜む「西洋・白人フェミニズム」が指摘され,「東洋(日本)」の地理学から何が発信できるのか問題提起がなされました。 村田陽平氏:日本における「均等法」と職場の変容―外資系企業管理職の国際調査から― 1985年の「男女雇用機会均等法」の制定から25年が経ちますが,この間,女性の就業問題は大幅に改善され,女性が働きやすい環境が確立されたといえるのでしょうか? 「ジェンダー問題」というと,上述のように,女性がいかに不平等・不利益を被ってきたかという議論が中心になっていると思われがちです。しかし,長期化する経済の低迷,新しいライフスタイルやライフコースの登場など多様化・流動化する社会の中で,男性を取り巻く就業問題についてもきちんと見ておく必要があります。 村田氏は,グローバル経済のもと外資系企業に勤務する,いわゆるキャリアの男性・女性に,労働や生活意識に関するインタビュー調査を行い,彼/女らのアイデンティティやその揺らぎを読み取りました。 村田氏の研究成果を詳しくご覧になりたい方は,以下の出版物をご参照ください。 村田陽平「キャリアパターンの持続と変容-「新人類」世代以降の事例から」( 多賀 太編著『揺らぐサラリーマン生活―仕事と家庭のはざまで―』ミネルヴァ書房 )pp.65-...